『クラッシック』
第1回東海大学湘南連句公開座談会レポート
文学部文芸創作学科 安田暁史
古典と聞いただけで拒絶反応をおこしてしまう若者は多い。かくいう私も、文芸創作学科の学生でありながらそんな若者の一人であった、この三吟歌仙夏雲の巻に参加するまでは。 私はサイト委員会で指名を受けてレポートを書くことになり、会場に取材に出かけることになったのだが、実は連句のことはよく知らない。 イベント当日、開場時間に少し遅れて私が会場入ると、席は思いのほか埋まっていた。 腰を下ろし辺りをぐるりと見渡すとやはり老人や中年の人が目立つ。しかしその間に学生の姿も見受けられる。 このイベントには「若者からお年寄りまで多くの人々に連句の面白さを知ってもらいたい」という目的があるそうだ。私も含め今日の座談会がそのような機会になればよいのだけれど、ここはフタを開けてのお楽しみといったところ。とりあえず開始までにまだ時間に余裕があったので、パンフレットに目を通して待つことにした。
13時30分、本日の主役の小島ゆかり氏、辻原登氏、長谷川櫂氏が一言ずつ挨拶をされて、いよいよ三吟歌仙夏雲の巻は始まった。 夏雲や石よりしろき石の影 まず「客」である小島氏が発句を読み上げた。発句はしっかりと詠まなければいけないもの、と小島氏が連句初心者の為に連句のルールを説明する。そしてそれに「主」である辻原氏が脇を付ける。 昼顔のごと横切る人あり 脇は発句にぴったりとくっつけるもの、と今度は辻原氏が連句のルールを補ってくれる。連句を全く知らない私も難なく楽しむことができそうだ。このようにして会は進行していった。 八番目(初折りの裏に1カ所入れるもの)は恋の句である。辻原氏が待っていましたと言わんばかりに恋の句を詠み上げた。 小指の先のしづくとならん そして続けて古い歌謡曲を口ずさむと、会場にどっと笑いの波が押し寄せた。このような、思わず笑い声が上がる場面が会中何度も見うけられた。 歌仙の最後を締めくくったのは長谷川氏の句だった。 何にもまさるけさの春眠 歌仙が巻き終えられると会場に大きな拍手がわき起こり、こうして第1回東海大学湘南連句公開座談会「三吟歌仙夏雲の巻」は幕を閉じた。
最後に質疑応答のコーナーが設けられていたのだが、ここでは三吟歌仙の小島氏、辻原氏、長谷川氏と来客者の間で熱い交流がなされた。 中には年配の男性から「わたしも学生と混じって文芸創作学科の授業を受講してみたいのだが、可能ですか?」などという嬉しい質問も飛び出した。 このイベントを通して私の中の古典に対する見方が変わったことは言うまでもないだろう。古典とは現代まで親しまれ模範とされているもののことをいう、いわばクラッシックだ。連句はその典型とも言えるだろう。 <了> ![]() 安田 暁史
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