詩人・吉増剛造:映像詩へのいざない

大勢のお客さんが来場しました。
7月12日(土)に、吉増剛造氏を招いて氏の短編映画(gozoCine)を上映するトークショー「吉増剛造:映像詩へのいざない-『鏡花フィルム』を中心に」を東海大学湘南キャンパスにて開催しました。学生、教職員、学外からの一般参加者100名近くが来場しました。

カラフルな直筆原稿を読む吉増さん。
まず、吉増氏が、色刷りの配布資料----それ自体が作品とも言える吉増氏の直筆原稿で参加者のみに配られた貴重な資料----を朗読しつつ、室井先生の『カフカ入門』を入り口として、柳田國男、折口信夫に触れ、最後に、持参した酸漿(ほおずき)を提示して泉鏡花の『婦系図』に言及されました。その原稿は詩人の持つ独自の感性によって書かれ、一言一言が心に響くものでした。

吉増さんがいつも持ち歩いている
ピンチハンガーと酸漿(ほおずき)
その上で、カフカに関する映画を導入として、「鏡花フィルム」の一部が上映されました。その映像は一切編集されておらず、吉増氏の見たままが映像になっている幻想的な作品でした。この作品の持つ「秘密の力」(「故意でもなければ偶然でもなく」作用するとカフカが述べた不思議な力)は、私の映画の概念を突き崩すものでした。上映中、吉増氏は、あたかもスクリーンに板書するかのように自身の言葉を不断に映像に投げかけておられました。

マイクを通さない朗読に感動!!
最後に、伊井先生のリクエストで吉増氏が自作の詩を力強い声で朗読してくださいました。これは私たちにとって思いがけない「ギフト」となりました。

聴衆と対話する吉増さん。
学外から、詩人、小説家、映像作家、文芸評論家が来場していたこともあり、上映後のフリートークでは活発な質疑応答がなされました。この映画は劇場よりも教室で上映されるべきものだという意味のことを吉増氏ご本人がおっしゃっておられましたが、「鏡花フィルム」を上映することで教室は、言葉が「不思議な力」として縦横によぎる本来の「教室」に戻ったような気がしました。

吉増さんにいただいた酸漿(ほおずき)
学生の声
生声の朗読に、言葉で表せない衝撃を受けました。
ぼくは1人で受け付けの仕事をしていたので、ずっと教室からもれる音を聞いていました。
そのことを後で吉増さんに伝えると「それがベストポジションなんだ」と言われました。
まるで夢の中のような時間だった。
配布された資料はずっと大切にします。
映画はいろいろな写真や音楽がごた混ぜに重なり合っていて、とても不思議な感じが残った。
- 記事作成:高橋俊之(文芸創作学科 1年)
- 写真撮影:源間智子(文芸創作学科 1年)