湘南連句公開座談会 蓬莱の巻

2006年7月1日(土)午後1時30分、生憎の雨模様にもかかわらず、第3回東海大学湘南連句公開座談会「三吟歌仙 蓬莱の巻」の会場である東海大学湘南校舎14号館103教室は、つめかけた人々で満席であった。

連句とは、俳句の発端となった日本の伝統文芸である。「発句」と呼ばれる最初の句を五七五で詠んだ後に、別の人が七七をつけ、そしてまた五七五の句をつけていく。本座談会は、東海大学文学部文芸創作学科教授で作家の辻原登氏、同じく文芸創作学科教授で俳人の長谷川櫂氏、歌人の小島ゆかり氏が、今年の1月に巻いた連句を解説するというものである。

今回で3回目となる本座談会は「蓬莱の巻」と名づけられた。蓬莱とは中国に伝わる伝説の島で、日本がそうであるといわれている。会場には、詠み人である三氏が自ら筆で書いた「蓬莱の巻」の句すべてが掲げられ、その中には小島氏が描いた猫の姿もあった。「蓬莱の巻」を前に、三氏は談笑を交えながら解説。ひとつの句の背景にある様々な知識や見聞―解説を聞く毎に歌の深みが聞く人の心を打つ。客席から感嘆の声があがる。

連句は、「前句」と呼ばれる自分が詠む句の前の句と微妙に関係を持たせなければならない。つかず離れずの句を詠むのは、難しくもあり、また面白くもある。だからこそ、一句ずつ解説していく中で、前句が、自分が詠んだ際に思っていたのとは違う解釈で詠まれていたことが分かり、次に詠んだ詠み人が慌てる、というシーンもあった。「そういう意味だったんですか!?」という驚きの声に、客席から笑い声があがる。しかし、そこはさすが、自分の句にまた違う解釈をつけることで鮮やかに乗り切った。

 

開会から約一時間。解説は進み、最後は長谷川氏の「誰か忘れてゆきし陽炎」という寂寥感をほのかに感じさせる句で座談会は終わりを告げた。

 閉会後、退出してゆく参加者の笑顔が印象的だった。中には「楽しかったです」と声をかけてくださる方もいて、連句という素晴らしい文学の一様式を楽しんでいただくことができたという満足感で胸が一杯になった。また今回は、文芸創作学科のいくつかの授業で座談会への出席が授業の一環として組み込まれていたこともあって、多くの学生が出席した。今回の座談会を通じて、連句に興味を持ってくれたらと思う。

連句は、細かいルールやしきたりがあるが故に、衰退の道を辿ることになった文学である。しかし、連句の面白さ、美しさ、素晴らしさは、来てくださったみなさんにきっと伝わったはずだ。この記事を読んでくださっているあなたも、身近な人と連句を巻いてみてはいかがだろうか。難しいことは考えず、言葉の織り成す世界を楽しむように、気軽に一句読んでみることをお勧めしたい。歌や句を詠むということは、遥か昔、粋人にとっては「遊び」のひとつだったのだから。

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